2013年2月10日日曜日

祐ホームクリニック石巻の診療支援を終え,帰ります.

院長の武藤真祐先生と.
東京のクリニックとの二足わらじで大忙し!
この大きなチャレンジをやってのけるパワー,
尊敬します・・・
  宮城県石巻市の祐ホームクリニック石巻へ.
  震災の年の11月以来,1年数ヶ月ぶりの診療支援であります.
  石巻市は急性期医療を担う大病院が被災して機能を停止.もう1カ所の大病院に患者さんが集中,重大な疾患を抱えた方も治療が終われば次々と退院し自宅に帰って頂かなければ地域医療が崩壊してしまう状態になっています.(十勝でいえば帯広厚生病院がなくなってしまった感じです.)
  そんな中,通院困難なご高齢の方がたくさん発生しており,訪問診療,在宅医療のニーズが急激に高まった.ところが石巻には在宅医療をやれる医師がいなかった.そんな石巻に「在宅医療を!」ということで立ち上がったのが,東京でも在宅医療専門クリニックを運営されている武藤真祐先生です.
看護師のキムラさんと仮設住宅へ.
「こんにちは〜.」

  東京との掛け持ちですから,院長不在の日ができてしまう.そこを全国の家庭医が埋めましょう!ということで私達北海道家庭医療学センターの医師も交代で支援させて頂いているのです.
  被災し仮設住宅でお住まいの方,親類の家に引き取られた方,末期のがんの方,何の情報もないまま突如訪問診療の依頼をしてきた方,けっこうな重病だけど「もう病院にはいかん!」と気を吐くおじいちゃん・・・毎日10数人の方を訪問し,診察をさせて頂きました.
   重要な方針を相談しなくてはならない患者さんもいらして,「出張医の私がこんな大事な話,させて頂いてもいいのかな〜」と思いつつ,「やはり,今,ここでやるしかない!」と覚悟して,時間をとってご本人とご家族と話し込まなくてはならない時もありましたなあ.
   患者さんが調子を崩していても,訪問診療では病院のような検査器機は使えません.血液検査の結果も翌日まで待たなくてはならない.そして,石巻の現状ではそう簡単に大きな病院にかかって頂いたり入院して頂いたりすることも難しい.丁寧な病歴聴取と身体所見で診断を推測し,不確実な中でもベストの意志決定をして行かなくてはならない.
市内のグループホームにも訪問.
「お変わりありませんか?」
   家庭医としての総合力が試される場であり,医師としてもチャレンジの毎日でした.
   結構なハードワークではありますが,訪問診療の予定とルートを管理するスタッフ,処方と診療報酬請求を管理するスタッフ,そして患者さんの状態をよく知り市内の他職種との連携を知り尽くした看護師さん,市内の道をよく知るドライバー兼アシスタントのスタッフにより,心配は無用!  出張医である私でもスムーズに診療に専念できました.さすが在宅医療専門クリニック!
   震災から2年が経過してもやっと明るい光が先に見えてきた,という程度の石巻市.
   医療の現場に身を置く,つまり弱者の側に寄り添ってみると,それが際立って感じられます.私達家庭医の被災地支援は細くても長く・・・まだまだ続きます.
   暖かいスタッフの皆様に見送られ,さあ,愛する更別と家族の元に帰ります!

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