2014年10月10日金曜日

銀杯と家庭医

更別村の敬老会が開かれた翌週.
13年来ヤマダの外来に通院されているAさん(女性)がいらっしゃいました.
いつも歩行器をおして診察室に入られるのですが,この日はやけに荷物が多い.
大きな段ボールと紙袋に入った木箱.

ヤマダ :
「Aさんこんにちは.今日は荷物が多いですね〜.」

Aさん:
「先生にこれをみてもらいたくて.」

段ボールと木箱からできたものは…
Aさんが敬老会で受け取られた100歳の長寿を祝う賞状と,銀杯だったのです.

Aさんは本当にお元気で,日常生活は基本的に何でも自分でこなすことができます.
この数年はどこに行っても「90歳台後半とは思えない!」と賞賛を受ける程.
ヤマダは密かにAさんが元気なまま100歳の誕生日をお迎えになることを楽しみにしておりました.

Aさん  「この年まで元気で生かして頂いたのは先生のおかげです.何でも自分でできて,食べたものを何も失敗することなく全部出せて…」
(と,ヤマダ,拝まれる)

実際のところAさんはこれまで大きな病気をすることがなかったので,孫にも満たない年齢のヤマダが「おかげさまで」といわれる程のことは何もしていません.
ヤマダは毎月の外来でお会いして来ただけ.
でも家庭医・総合診療医としてのヤマダの存在に意味がなかったわけではないと思っています.

・・・「 伴走者」そんな言葉がぴったりくるでしょうか?

私たち家庭医・総合診療医というとテレビでみる「Dr.G」のように難しい病気を病歴と身体診察でバシッと診断!なんていう格好のいいイメージが先行していますが,ヤマダは家庭医・総合診療医の本質はこっち(患者さんのよき伴走者)ではないかな〜と思っています.

医業も父親業も日々鍛錬。 第39回 「両親へ」 〜 どんぐり通信 2024年3月号より〜

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