2015年7月7日火曜日

泣かせちゃ行けない? お子さんの診察 〜十勝毎日新聞 子育て面 エッセイ 「おおきくなあれ」7月5日掲載分より〜


ヤマダが十勝毎日新聞に不定期に連載させていただいているエッセイが,
7月5日(日)に掲載されましたのでご紹介します.

風邪を引いた小さなお子さんをはじめて診察した研修医.
その日の夕方の振り返りにて.
研修医:「泣かせちゃ行けない,と思ってドキドキでした.」
山田:「お子さんにも保護者にも優しく声かけして,嫌がる診察は最後にするなど,とてもよくできていましたよ.でも,泣かせちゃ行けない,って思っていたのですね.」
子どもの診察について2人で考察してみました.
診察の時にお子さんが泣くと聴診が難しくなる.おなかに力が入ってしまって正しく診察ができない.医師が「泣かせちゃ行けない」と考える第1の理由がこれ.
子どもを泣かすことへの罪悪感がある,保護者に「この医者,子どもの扱いに慣れてないのでは?」と思われることへの不安がある.これもよくある第2の理由.
つい「泣かせてはいけない」と身構えたくなるものなのです.
でも,ここは小さなお子さんの立場になって考えてみたい.きっとお子さんの方が私たち医師よりもずっと不安な気持ちで目の前にすわっている.マスクで顔を隠した知らない大人の男性が体に触れるのですから,泣きたい気持ちになるのは当然.
「お体の診察も大事だからなるべく泣かないでがまんできるようにやってみるけど,恐ろしかったら泣いてもいいんだよ.」泣きたい気持ちを受け入れてあげるとよいかも知れない.診察の後は泣いても泣かなくても「がんばったね,上手にできたね」とお子さんの目を見て声をかけたりして.
こんなやりとりをしました.
短い時間ではありますがお子さんが「大丈夫,安心」「がんばれた,やれた」という気持ちが持てるようなコミュニケーションを心がけたいですし,それを研修に来た若い医師にも伝えていきたいと思っています.

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